ひだる地蔵 - 妖怪・ひだるが付くと腹が減って腹が減って・・・・・

[ 高知県吾川郡いの町枝川 ]
高知県道386号朝倉伊野線の、いの町と高知市との境にある咥内坂の峠付近に道路をまたぐように高知道の陸橋が架かちょりますが、その北側の旧道に、こんまい祠とお地蔵さんが祀られちょります。

お地蔵さんや民話と言えば市原麟一郎氏と思い、何ぞ書かれた物はないかと思い調べてみたら、やはり氏の書籍にありました。
氏によると、このお地蔵さんは「ひだる地蔵」じゃとあります。
「ひだる」とは、ひもじい、空腹と言う意味ながです。
ヒダル神(ヒダルがみ)は、人間に空腹感をもたらす憑き物で、行逢神または餓鬼憑きの一種。
主に西日本に伝わっている。
山道などを歩いている人間に空腹感をもたらす悪霊の類をいう。
これに憑かれると、歩いている最中に突然にして激しい空腹感、飢餓感、疲労を覚え、手足が痺れたり体の自由を奪われたりし、その場から一歩も進めなくなり、ひどいときにはそのまま死んでしまうこともあるという。
また高知県、長崎県、鹿児島県などでは「柴折様(しばおりさま)」と呼ばれる祠が峠や路傍に祀られており、ここに折った柴を供えて行くと、その場所を通る人はヒダル神を避けられるといわれている。
【 参考・引用 】 ヒダル神 - Wikipedia
そう言えば、以前、朽木峠を通った時にも山中に「柴折様」があったのを思い出しました。
朽木峠越え 7 - 途中で見かけた物 2009-11-10
ひだる地蔵
昔から、この咥内坂を夜通る時は、なにか食べ物を持って通行せんといかんと言う、言い伝えがあったそうです。
ところが、ある寒い夜、若者が朝倉村に嫁に行った妹の婚礼でお腹いっぱいに御馳走になり、夜中、枝川に帰るためこの咥内坂にさしかかった所、急にひもじゅうなって、冷汗は出るは、足も一歩も動かんようになったがじゃそうです。
若者は言い伝えを忘れて通ったので、困り果てて早く朝にならんかと祈りよったら、運よく高知方面から人がやって来たと。
助けを求めると、この人は言い伝えを知っちょったようで、赤ん坊の頭程もある大きな握飯を持っちょたと。
さっそく、その握飯を分けてもろうて、一粒の飯粒を食べたとたん、それまでの空腹感が嘘のようにのうなって、無事に家に帰り着いたそうながです。
【 参考・引用 】 『野仏のある風景』 市原麟一郎・著 昭和63年

台石にゃ「天保七年 牛馬災難 七月吉日」とある。
天保七年は1836年ですき、今から180年ほど前に、ここらで亡くなった牛馬の霊を供養するために建てられちょります。

写真は、高知市朝倉側から見た、咥内坂旧道です。
今じゃ、道路も整備された坂道じゃけんど、昔は牛馬にもキツイ峠じゃったがですねー。
たまに「腹減ったー」と言う子供(子供だけじゃないけんど)が、あんたらーの周りにもおらんかよ。
もしおったら、そりゃー、妖怪「ひだる」に取り付かれちゅう状態じゃき、へんしも(早く)メシを食わいちゃいよ・・・・・(笑)
MapFan地図へ
- 関連記事
-
- 青源寺 (2008/04/12)
- 宗安禅寺 (2008/10/05)
- 九反田地蔵尊 (2009/04/11)
- 地蔵渡し - 国府史跡 (2009/06/19)
- 悲話 - おちよ地蔵 (2009/06/23)
- 川上不動尊 - 四国三十六不動霊場・第17番「宗安禅寺」 (2009/08/18)
- 永源寺 - 土佐藩家老・乾氏の菩提寺 (2009/12/03)
- 馬頭観音 (2010/09/19)
- 清源寺 - 佐川・深尾氏の菩提寺として創建 (2010/09/27)
- 要法寺 - 山内一豊が長浜城主となった時、菩提寺に (2010/10/08)
- 乗台寺 - 長宗我部家臣・久武氏の菩提寺 (2010/10/29)
- 原町の地蔵堂(須崎市) (2010/12/07)
- 黙堂寺 - お堂の下にゃ、国清寺第4代住職・黙堂和尚が眠る (2011/09/05)
- 赤坂観音堂 - 土佐西国三十三観音霊場の番外寺 (2011/10/03)
- おもかる地蔵 - お地蔵さんが「土佐へ行きたい」と言うたそうな・・・・・ (2011/10/16)